- 股関節の手術のあと、なぜ肩こりが起きることがあるのか
- 「まっすぐ」という体の感覚は、意外とあいまいだということ
- 「体の感覚」を整えるために意識したいこと
「股関節の手術をした後から、なぜか肩こりがひどくなった気がする」
「手術したけど体のバランスが悪いまま?」
「股関節を手術したのに、どうして肩に症状が出るの?」
このようなお悩みや戸惑いを抱えている方に、このブログがお役に立てれば幸いです。
こんにちは。
兵庫県三田市で開業しています、ひろはた整体ラボの廣畑です。
当ラボの患者さんで股関節の手術をした後に、肩こりがつらいという方がいらっしゃいました。
手術をした場所がよくなったと思ったら、別の場所に不調が出ると戸惑ってしまいますよね。
その肩こりは、人工関節の手術による体の変化に慣れていく途中で起きている可能性があります。
この記事では、その理由を解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
結論|股関節の人工関節の肩こりは、体の構造が変わった影響
先に結論からお伝えします。
人工股関節置換術(じんこうこかんせつちかんじゅつ)のあとに肩こりがつらくなるのは、長年つき合ってきた「脚の長さの左右差」が手術でそろい、体の構造が変わったことで、体がまだその変化に慣れていない、という可能性が考えられます。

長い間、体は「脚の長さが違う状態」に合わせて、全身で支え方を組み立ててきました。
手術でその土台の構造が変わると、体はその変化に慣れようとして、あちこちで余分な力を使います。
その慣れていく途中の負担が、股関節から離れた「肩」の緊張として出ることがあるのです。
ですので、まず意識していただきたいのは、両脚に均等に体重をかける感覚を少しずつ整えていくことです。
「手術したのに、なぜ?」と不安になりますよね。
でも、焦らなくて大丈夫です。
ここからは、その仕組みをひとつずつ見ていきましょう。
なぜ股関節の手術なのに、肩がこるのでしょうか?
先ほどの患者さんは、生まれつき股関節の受け皿が浅い「先天性股関節脱臼・寛骨臼形成不全(かんこつきゅうけいせいふぜん)」の既往がありました。
この状態があると、手術を受ける前の時点で、脚の長さに左右差が出ていることが少なくありません。
脚が短くなる理由は、生まれつきの受け皿の浅さだけではありません。
受け皿が浅いと関節に負担が偏りやすく、長い年月のなかで軟骨がすり減る「変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)」が進むことがあり、これも脚が短くなる一因になります。
つまりこの患者さんは、長い間、片方の脚が短い状態で、全身のバランスを取りながら過ごしてこられたのです。

そして手術によって、その脚の長さも、ある程度そろえられます。
ここで、ひとつ知っておいていただきたいことがあります。
じつは、人間の体がもっている「まっすぐ」という感覚は、思っている以上にあいまいなのです。
長年、脚が短く傾いた状態で過ごしていると、体はその状態を「これがまっすぐ」と覚えて、馴染んでしまいます。
実際に、手術で脚の長さがそろっても、「まだ脚の長さが違う感じがする」と自覚される方は少なくないと報告されています。
これは、体の感覚が、実際の体の状態と必ずしもぴったり一致するわけではないことを表しています。
そして、手術で脚の長さという「体の環境」が変わると、体は今度は、姿勢に馴染み直していく必要があります。
その馴染み直しの途中では、体はこれまでと違う力の使い方を探りながら動きます。
この新しい状態に馴染んでいく途中の負担が、股関節から離れた肩や首の緊張として現れることがあるのです。
この患者さんも、当ラボで体の使い方を一緒に整えていくなかで、肩こりは少しずつ楽になってこられました。
ただ、肩こりの原因は本来とても多様で、脚の長さや姿勢の変化は、そのなかのひとつと考えられます。
脚や骨盤のバランスの変化が、めぐりめぐって肩の緊張につながることもあるんですね。
「体の変化に慣れる」とはどういうこと?
「体が手術による変化に慣れる」と言われても、少しイメージしにくいかもしれませんね。
ここで、車の運転にたとえてみましょう。
長年乗り慣れた車から、新しい車に乗り換えたときのことを思い浮かべてみてください。
ブレーキの効き方や、ハンドルの重さ、アクセルの反応が前の車と少し違って、慣れるまではどこかぎこちなく感じますよね。

車の性能はむしろ良くなっているのに、体がまだ前の車の「感覚」を覚えているために、しばらくは戸惑うわけです。
手術後の体も、これとよく似ています。
股関節そのものは良くなっているのに、体は長年の「脚の長さが違う状態」での動かし方を覚えているため、変わった体に慣れるまで、少し時間がかかるのです。
この「体が位置を覚えている感覚」を、少しずつ変わった体に合わせて整えていくことが重要なんですね。
焦らず「体の感覚を整える」ために意識したいこと
では、変わった体に慣れていくために、どんなことを意識すればよいのでしょうか。
大切なのは、正しい姿勢を「作る」ことだけではありません。
その姿勢に体が「馴染む」まで、感覚をゆっくり整えていくことです。
普段の生活のなかで、次のような視点を持っていただくとよいでしょう。
- 両脚に均等に体重をかける感覚を意識する
立っているとき、どちらか片方の脚に偏っていないか、ときどき確かめてみましょう。 - 今まで使えていなかった部分を、少しずつ使えるようにする
長年かばってきた側の脚やお尻の筋肉に、少しずつ体重を預けるように意識してみましょう。

体は少しの変化でも敏感に反応します。
ですので、体を整えて姿勢が馴染んでくるまで焦らずゆっくりと習慣づけていきましょう。
当ラボでは、こうした「体の感覚を整える」お手伝いを、その方のペースに合わせて一緒に進めています。
なお、手術やその後の経過についての個別の判断は、主治医の先生の領域です。
痛みや不調が続く場合は、自己判断で無理をせず、主治医やリハビリの専門職に相談してくださいね。
おわりに|手術後の不調は、体が変化に慣れていく過程かもしれません
最後までお読みいただきありがとうございました。
人工股関節置換術のあとに肩こりがつらくなるのは、長年つき合ってきた脚の長さの左右差が整って体の構造が変わり、体がまだその変化に慣れていない過程で起きている可能性があります。
「手術したのに、どうして」と不安になりますよね。
でも、それは体が変わった状態に馴染もうとしている、前向きな途中経過なのかもしれません。
両脚に均等に体重をかける感覚を意識することから、まずは2週間、焦らず取り組んでみてくださいね。
肩こりやその他の不調がなかなか改善しない…という方は、お気軽にLINEまたはお電話からご相談ください。
LINEからは24時間ご相談を受け付けております。

ひろはた整体ラボでは、理学療法士として16年間培った経験を活かし、あなたの体に合わせた施術をご提供しています。
このブログが皆様のお役に立てば幸いです。
- 手術で脚の長さはそろったのに、まだ違和感があるのはなぜですか?
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体の感覚は、実際の体の状態と必ずしもぴったり一致するわけではありません。長年の状態を体が「これがまっすぐ」と覚えているため、手術で脚の長さがそろっても、新しい状態に馴染むまでには時間がかかります。実際に、手術後も「脚の長さが違う感じがする」と自覚される方が少なくないことも報告されています。
- なぜ股関節の手術で肩がこるのですか?
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長年、脚の長さの差に合わせて体全体で支え方を組み立ててきたため、手術で体の構造が変わると、体はその変化に慣れようとして余分な力を使います。その負担が、肩など離れた場所の緊張として出ることがあります。ただし肩こりの原因は多様で、脚の長さや姿勢の変化はその一因という位置づけです。
参考文献
- 「人工股関節全置換術後早期における歩行時の自覚的脚長差に関連する因子」運動器理学療法学/J-STAGE
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jofmpt/advpub/0/advpub_202321/_article/-char/ja/ - 木村祐介・竹内雄一・吉川卓志・岩切健太郎・小林章郎「人工股関節全置換術後の自覚的脚長差に影響を与える因子の検討」理学療法学Supplement 46S1,2019.
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282763134185088 - 岡安健「人工股関節置換術に対する最近の後療法」The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine 60(1):15-21,2023.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/60/1/60_60.15/_article/-char/ja


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