寛骨臼形成不全とは?治療の段階をわかりやすく解説

この記事でわかること
  • 寛骨臼形成不全とは、「股関節の受け皿が浅い」状態のこと
  • 「形成不全=すぐ手術」ではなく、治療には段階があること
  • 人工股関節置換術が、どんなときに選択肢として出てくるのか

「病院で『寛骨臼形成不全(かんこつきゅうけいせいふぜん)』と言われたけれど、どういう状態なの?」

「人工股関節の手術を勧められたけれど、必ず手術しないといけないの?」

「生まれつきと言われたから、もう治せないのかな…」

このようなお悩みや不安を抱えている方に、このブログがお役に立てれば幸いです。

こんにちは。

兵庫県三田市で開業しています、ひろはた整体ラボの廣畑です。

聞き馴染みのない言葉を聞くと、なんだか大変なことのように感じて、不安になりますよね。

寛骨臼形成不全は、まずその状態を正しく理解することが、大きな安心につながります。

そして、治療にはいくつかの段階があり、すべての方がすぐに手術になるわけではありません。

この記事では、『寛骨臼形成不全』について、医療機関では一般的にどんな治療が行われるのか解説します。

ぜひ最後までご覧ください。

目次

結論|「股関節の受け皿が浅い」状態で、治療には段階があります

結論から先にお伝えします。

寛骨臼形成不全とは、太ももの骨を受け止める「股関節の受け皿(ソケット)」が、生まれつき少し浅い状態のことです。

受け皿が浅いと、関節のはまり具合が不安定になりやすく、長い年月のうちに負担が積み重なっていくことがあります。

「じゃあ、すぐに手術しないといけないの?」と、不安になりますよね。

すべての方がすぐに手術になるわけではなく、症状や進み具合によって、経過観察・保存療法・手術と、段階的に選択肢があります。

まずは、ご自分の股関節が今どういう状態なのかを知ることが、はじめの一歩になります。

そのうえで、気になることは主治医の先生に相談できるよう、この記事で背景を整理していきましょう。

寛骨臼形成不全(かんこつきゅうけいせいふぜん)ってどんな状態?

あまり聞き慣れない言葉ですよね。

股関節は、太ももの骨(大腿骨(だいたいこつ))の先端にある丸い部分が、骨盤側の「受け皿」にはまり込んでできています。

この受け皿の部分を、専門的には寛骨臼(かんこつきゅう)といいます。

寛骨臼形成不全とは、この受け皿が、生まれつき十分に育たず、浅くなっている状態のことなんです。

ちょうど、ボールを「深いお椀」に乗せると、ころんと安定して収まりますよね。

でも、同じボールを「浅いお皿」に乗せると、ぐらぐらして転がり落ちそうになってしまいます。

寛骨臼形成不全の股関節は、この「浅いお皿にボールを乗せた」ような状態に近いんです。

深いお椀と浅いお皿にボールを乗せた比較イラスト(安定と不安定)

だから、体重を支えたり動いたりするときに、関節のはまり具合が不安定になりやすいと考えられています。

なぜ、寛骨臼形成不全を放っておくと股関節に違和感がでるのか?

受け皿が浅いと、太ももの骨を支える面積が、どうしても小さくなりがちです。

支える面積が小さいと、そのぶん一か所にかかる負担が大きくなってしまいます。

ちょうど、重い荷物を手のひら全体で持つと楽ですが、指先だけで持とうとするとすぐに疲れてしまいますよね。

それと同じように、狭い面で体重を受け止め続けると、関節にかかる負担が積み重なっていきます。

その負担が長い年月のあいだ続くと、関節の表面をおおう軟骨(なんこつ)が少しずつすり減っていくことがあります。

そして、軟骨がすり減って関節が変形していく変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)へと進みやすくなると考えられています。

とはいえ、これは「必ずそうなる」という話ではありません。

進み具合には個人差があり、症状がほとんど出ないまま過ごされる方もいらっしゃいます。

だからこそ、今の状態を知って、段階に合った付き合い方をしていくことが大切なんですね。

「寛骨臼形成不全=すぐ手術」ではありません

ここが、いちばん誤解されやすいところです。

「形成不全と言われた=もう手術しかない」と思い込んで、落ち込んでしまう方は少なくありません。

でも、実際には、経過観察をしながら付き合っていく方も多くいらっしゃいます。

治療の方針は、形成不全の程度や、痛みなどの症状の有無、進み具合によって変わってきます。

一般的には、次のように段階的に考えられています。

このように、いきなり手術ということではなく、段階を踏んでいく考え方が基本とされています。

こうして段階に応じた選択肢があるんですね。

治療の方針は主治医の先生によって異なりますが、主治医の先生にご相談いただくのが一番の安心につながります。

人工股関節置換術という選択肢について

寛骨臼形成不全が原因で変形性股関節症がひどくなると、人工股関節全置換術(じんこうこかんせつぜんちかんじゅつ)を勧められることがあります。

では、人工股関節置換術は、どんなときに出てくる選択肢なのでしょうか。

これは、保存療法を続けても症状が改善しない場合や、関節の傷みがかなり進んでしまった場合に検討される治療法です。

傷んでしまった関節を、人工の関節に置き換えることで、痛みをやわらげ、動きを取り戻すことを目指します。

痛みの軽減や、日常生活の質の向上が期待できる、標準的な治療法の一つとされています。

「人工の関節に置き換える」と聞くと、少し身構えてしまいますよね。

でも、それは決して「最後の手段」というだけのものではなく、つらい痛みから解放されて生活を取り戻すための、前向きな選択肢の一つでもあります。

ただし、手術をするかどうか、いつするかは、一人ひとりの状態によって大きく異なります。

これは医師が、検査の結果や症状、生活の状況などを総合的に見て判断することです。

このブログはあくまで一般的に行われている治療の情報をお伝えしているものであり、治療の指針ではありません。

個別の治療の判断については、必ず主治医の先生にご相談ください。

股関節の状態は、体全体のバランスにも関わります

最後に、もう一つお伝えしたいことがあります。

「股関節が悪い=股関節だけの問題」と思われがちですが、実はそうとは限りません。

股関節の動きが悪くなると、それをかばうように、体全体のバランスが少しずつ変わっていくことがあります。

すると、股関節から離れた別の部位に、思いがけず症状が出てくることもあるんです。

実際、当ラボにも、寛骨臼形成不全があり、人工股関節置換術を受けられたことのある60代の女性がいらっしゃいました。

詳しくお話をうかがうと、手術で股関節の痛みは軽減したものの肩こりの症状がひどくなってしまったとのことでした。

体は、一つひとつの部位がバラバラに動いているのではなく、全体でつながって支え合っています。

ですから、股関節のことを考えるときも、「股関節だけ」でなく「体全体」という視点を、少し持っていただけたらと思います。

とはいえ、まずは今回お伝えした「寛骨臼形成不全そのもの」を理解することが、いちばんの土台になります。

おわりに|まずは「今の状態」を正しく知ることから

最後までお読みいただきありがとうございました。

寛骨臼形成不全とは、股関節の「受け皿(ソケット)」が生まれつき少し浅い状態のことです。

受け皿が浅いと関節が不安定になりやすく、長い負担のなかで変形性股関節症へと進むことがあります。

けれど、「形成不全=すぐ手術」ではなく、経過観察・保存療法・手術と、段階的な選択肢があります。

大切なのは、ご自分の今の状態を正しく知り、その段階に合った付き合い方を、主治医の先生と一緒に選んでいくことです。

不安な気持ちのままだと、心まで疲れてしまいますよね。

だからこそ、まずは正しい知識を土台に、落ち着いて向き合っていただけたらと思います。

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このブログが皆様のお役に立てば幸いです。

寛骨臼形成不全ってどういう状態ですか?

股関節の「受け皿(ソケット)」が浅いために、太ももの骨(大腿骨)とのはまり具合が不安定になりやすい、生まれつきの状態のことです。受け皿が浅いぶん関節にかかる負担が偏りやすく、長い年月のなかで変形性股関節症へと進むことがあると考えられています。ただし進み具合には個人差があり、症状がほとんど出ない方もいらっしゃいます。

人工股関節に置き換えないといけないですか?

すべての方が手術になるわけではありません。症状や進み具合によって、経過観察や保存療法(運動療法・装具療法など)で様子をみていくこともあります。人工股関節置換術は、保存療法で改善しない場合や関節の傷みが進んだ場合に検討される選択肢の一つです。どうするかは一人ひとり異なりますので、個別の判断は必ず主治医の先生にご相談ください。

参考文献

  • 日本整形外科学会「股関節疾患診療ガイドライン」(2020年改訂)
  • 厚生労働省「変形性股関節症および寛骨臼形成不全に対する人工股関節置換術の実施状況と成績」

(理学療法士 廣畑 駿也 監修)

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この記事を書いた人

廣畑 駿也のアバター 廣畑 駿也 ひろはた整体ラボ

資格:理学療法士
臨床経験:病院・クリニック勤務にて、整形外科を中心に脳神経・呼吸器など幅広い分野の治療に16年間携わる。
得意分野:長年の肩こり・腰痛・膝の痛みといった慢性的な不調・怪我・病気・手術後の不調
所属院:ひろはた整体ラボ(JR三田駅徒歩3分)

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